奈良県・高山サイエンスプラザ等県有地活用に係る説明会共創推進意見交換会について

上記の会合は2025年2月26日(水)14時から、高山サイエンスプラザ内および周辺の現地において実施された。
以下、寺岡創太氏に代わるエコネット近畿理事として、近藤が出席した状況を報告する。

概要

会合は、寺岡氏がコトクリエなどを経由して知己を得た、(株)新産業文化創出研究所(以下、ICIC)が事務局を務め、奈良県・生駒市・奈良先端科学技術大学院大学(以下、NAIST)の関係者およびICIC同社が招集した民間人(周辺企業と大和ハウスグループ各社など)によって開催された。
NAIST敷地の北西部を占める県有地と、その上に立つ、奈良先端科学技術大学院大学支援財団(以下、NAIST財団)が所有する建物「高山サイエンスプラザ(以下、プラザ)」が、活用検討の対象となる。県有地の他の現在用途は、駐車場、遊歩道、運動場およびテニスコート2面などになる。

県有地を含むNAIST周辺は、学研高山地区第1工区として整備され、その10倍に上る第2工区が北側(すべて生駒市域)に設定されているがほぼ未開発。当初は宅地開発だったものが、生駒市によって工業用途に変更されて現在に至る。(NAISTおよび対象県有地も「準工業地域」指定。用途変更は可能とのこと。)
第1工区内には、NAISTやプラザに隣接する形で参天製薬など5社が工場や研究所を展開。社長ご自身が会合にも出席した上六印刷は、20年ほど前に本社も工場も同地に全面移転したとのこと。さらに、県有地の東側にはソフトバンクによるデータセンターが建設中。

近藤の見解

説明が終わり、自己紹介を兼ねた各出席者の意見が出された。
近藤からは、「中間支援」「環境教育」を得意とする団体である以上、人を集めるコンテンツで貢献できると表明。(研究者や企業関係者以外をも想定した)施設の充実はそれからでもいいとの見解。
類似の既存イベントとしては、高山サイエンスプラザでは月に一度、小学生向けのサイエンス塾が開かれている。NAIST財団によると、毎回10~15名程度の参加者は、自治体広報に載っている生駒市、木津川市、精華町からがメインで、奈良市や県全般からは集客していないとのこと。⇒近畿全般を対象にする当法人・きんき環境館の強みが発揮できる?

実地見学

会合の終了後、実地見学の時間が持たれた。
まずは外から。建物全体を見わたした大和ハウスリアルティマネジメント社からの出席者は「外装さえ直せば建物を使い続けられる」との見解を示していた。他にも、新しい建物を建てる方向性を明確にした関係者は、会合の時点から確認できなかった。
運動場(上記写真の3枚目階段を下りた奥)は、球技などで使うと言うより広い敷地が必要な実験での需要があるらしい。一方で2面あるテニスコートはよく使われている。一定量は残す必要がある駐車場は、立体駐車場で効率化すればいいとの意見もでた。(ちょうど大和リースの得意分野だから喜ぶだろうと)

続いてはサイエンスプラザ内だが、実際に使用されているは全体の半分以下。1階には食堂とラウンジとして営業していた設備・区画があるが、大和ハウス関係者によるとすでに古い機器だという。ほか、書店もあったが、かなり前に営業を終了したとのこと。
2階の会議室以外の部屋は財団事務室や理事長室のほか元・図書室や元・ラウンジがあり、中をのぞくとVHSビデオチェンジャーや黒電話があったりなど、昭和の香りさえ残っていた。

3階の企業使用はわずかに3社、空いている部屋(75平米)に入るとフリーアクセスフロアにはなっているがLAN配線等は行き届いていない模様。一室の月家賃は15万円と、10年前に近藤が同じ面積で茶屋町で借りていたマンションの一室が12万円だったことを思うと高い。たしか近鉄ケーブルネットワーク(KCN)の出席者が、いっそ横の壁を壊して広い一室にして、机数席あたりでいくらと貸したほうが集客も収益率も良いのでは?と言っていたのが印象的だった。
4階東側は100名ほどが入れるホール(上記写真の2枚目)になっているが冷暖房が効かず、先述のサイエンス塾などは夏冬は2階の会議室を使用するそうだ。4階西側の住居ゾーンは数室のみの稼働、空室をみせてもらったがうっすらとカビの匂いがして、2m四方もある一面窓がいかにも使いにくそうだった(上記写真の3枚目)。

立地について(NAISTへのアクセスマップ

NAIST近辺は、自動車なら国道163号線がすぐで割と便利がいい。が、公共交通機関となる分断されている印象で、近鉄けいはんな線・学研北生駒駅からは徒歩20分だがほぼ坂路で、実際にはバス利用が多い。それも同駅と学園前駅行の系統がほとんどで、京都府方面には学研奈良登美ヶ丘駅経由高の原駅行きバスが3時間に2本ある程度にとどまる。よって、国会図書館などがある光台地区への公共交通機関によるアクセスは極めて悪い(いったん学研奈良登美ヶ丘駅に出れば1時間4本程度のバス便がある)。
地形的にも山で分断されている格好で、旧来からの高山地区からも平成以降に建てられた新興住宅地からも足しげく通っている形跡はない。そもそもNAIST内には学生食堂とコンビニぐらいしかなく、飲食店は不足気味。すぐそばに学生・職員宿舎があることも関係しているだろうが、外来訪問者には優しくない環境である。(この点も、複数の出席者から指摘があった)

思ったより、長くなりましたが、この辺で止めておきます。

資料(紙をPDF化。ICICに連絡するのが面倒だったので)